・2017年1月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が改定されました。
・「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」の例が「パソコン入力等」から「パソコンの使用時間の記録等」に置き換わりました。
・従業員の就業時間に関する監査の厳格化への適応にICカードを利用した就業管理の需要が高まっています。
近年は、過重労働や違法労働によって労働者を使いつぶす「ブラック企業」が問題になっています。このような中、企業運営においては、労働者の勤務時間や働き方を管理することがますます重要になってきています。そこで、本コラムでは、6回にわたって、あなたの企業にとって最適な「勤怠管理」について解説を行います。1回目の今回は、「勤怠管理システムの選び方!(前編)」です。
勤怠管理システムの選び方!(前編)
“出社時や退社時に従業員は会社の出入り口のタイムレコーダで打刻し、手入力で集計している…””勤怠管理システムは導入していても、人事・給与システムと連携することができない…”など、勤怠管理にお悩みの企業も多いようです。人事・総務部門の業務効率を高めていくために、今、改めて勤怠管理の課題とシステム導入のメリットについて、見直してみることをオススメいたします。
【まだ勤怠管理システムを導入していない場合】
人事・総務部門の業務負担が大きく、労基署対策が必要となる可能性も…
まだまだ総務・人事部門が手作業で管理しているケースも多いようです。タイムカードに打刻して手入力で集計していると、業務負担が大きいことはもちろん、不正打刻や打刻忘れで管理が徹底できないなど、さまざまな問題があるのです。
代理打刻による打刻の不正の恐れが…
タイムレコーダのすぐ脇にタイムカードがあれば、誰でも打刻は可能であり、タイムカードに打刻した人が本人かどうかは確認ができません。早く出社した社員や遅くまで残業した社員が、同僚や上司の分をまとめて打刻することもしばしば。これでは社員の勤務状況を正確に把握することができません。
ー 勤怠管理システムを導入すれば!
社員証を兼ねたICカードや会社支給の携帯電話など、個人個人が携帯しているツールで打刻する勤怠管理システムなら、代理打刻ができないので、不正打刻を防ぐことができます。
打刻忘れで確認作業や修正作業に追われて…
出退社時に打刻することを忘れたり、直行や直帰の際に打刻ができずに後日の打刻を忘れる…。打刻忘れは、数百人レベルの会社でも月に数百件の対応が求められたりします。そのたびに総務部等が社員に確認作業や、修正作業に追われます。
ー 勤怠管理システムを導入すれば!
これまでなら、締めてから初めてミスが発見されていましたが、スタッフ画面で自分の打刻状況を確認できる勤怠管理システムなら、早めの当人による解決も可能です。また出先からでも打刻できるシステムもあります。
手入力作業の負担は大きく、コア業務に集中できない…
勤怠管理を行うのに、タイムカードを元に、手入力でExcelなどに入力する場合、入力ミスなどが起きがちです。また毎月、締め日から支払日までに、入力と集計の業務が集中して、その他の本来業務ができなくなったり、余計な人件費がかかります。
ー 勤怠管理システムを導入すれば!
勤怠管理システムなら、入力作業は不要。集計など基本的なデータ処理も自動です。締日から支払日までの勤怠管理業務のためのアルバイトやパートを雇う費用や、社員の残業費などを削減できます。
法令に則った運用が困難でブラック企業になってしまうかも…
労働基準法では「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」と定められています。近年ブラック企業の増加から、労働基準監督署は始業・終業時刻の記録を求めています。自己申告で出勤した日はチェックを入れるだけのような簡易な出勤簿ではもう許されません。
ー 勤怠管理システムを導入すれば!
「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」が労働時間の適正な把握手段のひとつとして推奨されています。勤怠管理システムを導入すれば、きちんと記録できるだけでなく、リアルタイムで労働時間の把握が可能です。
勤怠管理の書類管理が大変で…
労働基準法では「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」と定められています。従業員数分のタイムカードや出勤表の管理は大変で、長年保管するための保管のスペースも大変です。
ー 勤怠管理システムを導入すれば!
勤怠管理システムを使えば、ペーパーレスでの管理が可能です。紙ベースでの運用とちがい、データの突合せや古いデータの検索もスピーディです。
【勤怠管理システムを導入している場合でも】
操作が複雑で管理漏れや、他システムと連携できず業務効率に不満も…
勤怠管理システムを導入していても、一昔前のシステムでは、操作性や他システムとの連携、管理の柔軟性などに難が生じてしまっているケースも少なくありません。下記の項目についてチェックしてみる必要があります。
操作が複雑だとミスが起きやすい…
勤怠管理システム、特に初期の頃のシステムの中には、操作が複雑で、ミスが起きやすく、また習熟まで時間がかかるシステムが少なくありません。勤怠管理システムの新しい担当者の育成や担当者の引継ぎも大変でした。
ー 新しい勤怠管理システムを導入すれば!
管理画面がシンプルで、誰にでも使いやすい勤怠管理システムが増えています。操作ミスが起きにくいばかりか、操作を覚える時間がかからず、新しい担当者もすぐに使いこなせます。
他のシステムとの連携ができず非効率に…
いまは人事・給与システムや入退室管理などさまざまなシステムと、勤怠管理システムとの連携が求められています。連携ができない勤怠管理システムでは二重入力の必要が出てくるなど非効率です。
ー 新しい勤怠管理システムを導入すれば!
さまざまなシステムとの連携が行える勤怠管理システムが増えています。また勤怠管理システム自体にシフト表作成などの機能が含まれているものもあり、単なる就業時間把握システム以上の活躍をしてくれます。
パート・派遣など多様な勤務体系に対応ができない…
パートや派遣、さらには他店への応援といった部署をまたがる勤務など、さまざまな勤務体系があると、処理できない勤怠管理システムが少なくありません。
ー 新しい勤怠管理システムを導入すれば!
勤務体系の多様化にきちんと対応できる勤怠管理システムが次々に生まれています。システムがあるのに別途書類で対応…といった例外処理をしなくて済みます。
今回は、手作業での勤怠管理や一昔前の勤怠管理システムの課題、新しいシステムを導入するメリットについて解説いたしました。次回は、自社に合った勤怠管理システムの選び方について解説していきます。
掲載日:2015年3月9日
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